祈り Mark Inoue Promotion
震災復興チャリティーコンサート
「篠笛で奏でる井上真愛久作品」公演に思いを寄せて
篠笛奏者 村山二朗
井上真愛久さんのウェブサイト名である「soul bamboo 」を訳せば「竹魂」または「魂の竹」だろうか。あるいは真愛久さんがリスペクトしていた黒人音楽をも連想させる。よく尺八吹きは職業語として楽器の尺八のことを「たけ」とだけ呼ぶことが多い。竹に息を吹き込む・竹に魂を込める、という単純明解な行為。言葉にするのは簡単だが、肉体を通して真に実践するのは難しい。ただ、自分も日頃から竹楽器に息を通しているので、このネーミングには非常に共感していた。
真愛久さんとは自宅が近い（徒歩圏なのです）ということもあり、親しくお付き合いさせて頂きました。このお方、僕よりお歳は二十も上であり、人生においても、芸の道についても大先輩なのですが、会えば会う程、不思議と嗜好が自分とよく似ているなと感じました。これについては、ご本人も僕に対して思って下さったご様子で、「前世からの同志だったに違いない」と度々おしゃっていました。飲み会となれば笑いが絶えず、話題は酒、食材、バイク、車、バンド、昔の横浜街の風景などで大いに盛り上がる。どれもこれも僕が傾倒している内容ばかり。そして、他の客人が帰られて二人だけになると、決まって
話は「音楽」や「竹」へと移りました。飲んですっかり空になった一升瓶を交互に吹き合って「息遣い」の技のレクチャーが始まったりと、それは楽しい貴重な時間でした。
2010年の9月23日に真愛久さんは旅立たれました。あまりにも突然で、多くの井上真愛久ファンの皆さんと同じように、辛く悲しい別れでした。そして、僕はその直後より追悼Liveのこと考えていました。「時期は？」「規模は？」「共演者は？」「テーマは？」としばらく自問していましたが、半年が過ぎた頃に、ふと、真愛久さんの楽曲を篠笛で吹いてみようとの考えに至りました。彼の生前には思いもよらないことです。
初めて真愛久さんから生み出されたメロディを尺八と同じように竹で作られている篠笛で吹いた時、「彼の魂は、確かに作品の中にも在る。」と確信しました。楽曲に息を吹き込めば、真愛久さんの心と交信しているかのような感覚があるのです。それは、魂は音の中にあり、何度でも再会・対話できるということ。
このコンサートの開催時期については奥様の井上結葉さんとも相談の上、一周忌に近い2011年の9月20(火）に定めました。会場は、彼の母校である高校野球で有名な横浜高校の野球部のグランドの真ん前にある、小さな長浜ホール。共演者には真愛久さんがリリースされていたCDアルバムのアレンジを手掛けられていたピアニスト・加藤 実氏に出演をお願いしました。このコンサートの構想を練っているうちに「3.11」の大震災が起きてしまいました。被災地に対して少しでもお役に立ちたいと震災チャリティーコンサートとしてチケット代金の一部を被災地へ義援金として送金させて頂きます。おそらく、井上真愛久さんも「そうだ、そうしろ。」と言っているに違いありません。
どうか皆さん、井上真愛久さんの作品に、その魂に会いに来てくだい。多くの方のご来場をお待ちしております。
井上真愛久 逝去のお知らせ
9月２３日
中秋の月、輝く夜に
真愛久は旅立ちました。
10月12日で６３歳。
１３歳から半世紀の「竹」との共鳴でございました。
多くの皆様のご支援を賜りましたこと
心から感謝を申し上げます。
数々の病も克服し、昨年夏より本格的に活動を開始。
音楽への情熱は一層深まり
その感覚は研ぎ澄まされておりました。
希望に満ち溢れて輝きながら
真愛久は永遠の魂となり光となりました。
旅立ちの直前、
己の最終テーマは「愛と平和」と言い残して。
そして、これからも
井上真愛久の旋律を
皆様のお心にとめていただければ幸いです。
感謝
Universalworks＋
井上結葉
Music
MP3（ブラウザのボタンで戻ってください。）
祈り/Inori（04:57）
夢千里/Yumesenri（4:42）
Release
浄天樂流尺八奏者
井上真愛久の進化する音
命・肉体への試練に伏した１０年の月日に、あるがままを受け入れ、曙光を見つめ、あきらめる事無く、輝きを失わずに総ての瞬間を全力で生きて参りました。
長い闘病中も内なる湧水からふき出す音を真愛久は奏で、ステージに立ち続けました。
和洋の東西を越え、ジャンルを問わず奏で続けてきたマークの音は、幼少から鍛えられた音楽背景を持って、古典から２１世紀に響き渡る<ヒューマニックサウンド>へと進化していきます。
日本発、世界へ。
万物を浄化する天の樂師・井上真愛久の「祈り・魂・音楽」を今、ここから。
仏・菩薩のためだけに奏でることが許された尺八とは。
1300年前の音色、悠久の魂を現代に蘇らせるために。
真愛久の音を聞いてくださった一人一人総ての方が、胸に小さな灯りを希望として灯してくださることがなによりも喜びです。
日本の自然は四季を通して国を美しく彩ります。
山の初雪、桜吹雪、目に眩しい青葉、万象を照らす真夏の陽射し、極彩色に彩られる紅葉・・
そしてこれらの背景には静謐でたおやかな風に揺られる笹葉を茂らせた竹林が在ります。日本という国が誇る大自然と悠久の歴史です。
尺八は、この竹から生まれ、神秘にして穏やか、且つ根強いエネルギーを持つ楽器で、日本では１３００年前に中国大陸から伝わり伝承されている懐の深い楽器です。
聖徳太子も愛玩したという記録も残り、正倉院には翡翠、象牙からつくられた尺八が大切に納められています。
